ユニティテンプルはライトが独立した後の初作品。
ユニテリアンの為の教会で、キリスト教で伝統的に用いられてきた三位一体(父と子と聖霊)の教理を否定し、神の唯一性を絶対的に強調する主義(ウィキペディアより)により建てられた教会。
その為、十字架が何処にも見あたらないんですね。
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外観も、通常の教会建設費の1/2という予算で建築した為、、コンクリート造の質素な素晴らしい教会となっている。
教会といえば大きなバラ窓。
そういった常識を覆し、勾配屋根をやめ平らな陸屋根(ろくやねという)を持った教会です。
また、大通りに面する敷地の為、開口部を上部のみにしか設けず、遮音効果を狙ったり、入り口を奥に引っ込んだ所にする事で、都市の雑踏から離れた特別な神聖領域を作り出しているのだと思いました。
無駄な装飾は抑えられている分、ライトの抽象的な造形のデザインがとても目をひきます。
エントランス脇にあった看板のデザインが私のお気に入りです。
しかし、運悪くこの日は結婚式があるらしく予定より早く閉まってしまいました・・・
わざわざ日本から来たので、係りの人に頼み込んで、特別に数分間中を見させていただきました。
じっくり見る時間がなく、しかも写真も撮影箇所を厳選できず残念な思いを。
ただ、幸運なことに誰もいないチャペルの中を撮影できた事は貴重です。
少しでも見れたことに感謝しつつ、細かいディテールをじっくり見れなかった事は非常に残念でなりません。
私はフランク・ロイド・ライトの設計した自由学園明日館で挙式を挙げたもので、特にこのユニティテンプルの見学は感慨深いものでした。
計算しつくされた天窓からの明りはやわらかく空間を包み、そこで祈る人に安らぎを与えます。
先に述べたとおり、キリストを祀る教会と違って、神に祈りを捧げる事を主とするこの教会は、明るい光に包まれ、内部も一般的な教会と全く異なる雰囲気です。
※ユニティテンプルのテンプルとは神殿の意味。チャーチではない。
ライトは、このユニティテンプル設計にあたり随分日本文化を参考にしたといわれています。
インドのヒマーチャル地方の建築探訪の時参考にさせていただいた神谷武夫氏のHPの中に面白い記述がありました。
ユニティテンプルの平面計画が日光東照宮に類似するというものです。
シカゴ万博で日本の日光東照宮等の設計に感銘を受け訪問し、その一ヵ月後に設計をしたというのだから、その影響は否定できません。
ただ、それが日本の真似で悪いとかそういことでなく、同じ平面計画でも全く違った空間を作り出していることが素晴らしいと思うのです。
教会というと、入り口からはいるとすぐ正面に祭壇が見え、その背後にパイプオルガンがあるという建築構成が一般的だと思うのですが、そういった常識を完全に覆した事は本当に素晴らしく、それによってとても良い空間になっているのだと思います。
このシカゴのユニティテンプルへはフランク・ロイド・ライト風のプレーリースタイル住宅を設計する際に勉強として訪れました。
住宅でないこの教会の要素は直接的に設計に生かされることはありませんでしたが・・・
しかし、ライトの幾何学的なデザインはどこか気づかないうちに影響を受けているんだとこの記事をまとめ直しながら気が付きました。
自邸の門扉がなんとなく、ユニティテンプルにあった看板に似ている気がします。
きちんと頭の奥底にインプットされていたんでしょうね(笑)
※この記事は以前個人blogで書いたものを再編集しています。