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日本の土地事情に合わせたプレーリースタイルの家造り
2010.05.12 Wednesday
この家は私が設計事務所勤務時代に携わったプレーリースタイルの住宅です。
この設計の際、先日紹介したフランク・ロイド・ライトの自宅兼アトリエや彼の設計した建物を訪れ、プレーリースタイルの住宅を研究させて戴きました。
※今回は写真でなくイラストでのご紹介になります。
オークパーク(シカゴ郊外のライトの作品の多く残る街)の住宅やロビー邸を観察して思った事は、どの建物も敷地が広大で、地面に根差したかの様の低いプロポーションが特徴的だということです。
二階建てや三階建ての建物ですが、とても大きな家なので、細長く背の低い建物に見えるわけです。
これは、日本でプレーリースタイルの住宅を提案するには難しい壁でした。
狭い敷地の日本ではどうしても背高のっぽの建物になってしまうからです。
それではどんなに水平ラインを強調してもプレーリーハウスっぽい雰囲気を出す事が出来ません。
今回は道路より低い斜面地だった事を利用して一階を半地下にして埋め込み、地上に見える高さを小さくする事でプロポーションを保つようにしてみたのです。
フランク・ロイド・ライトの建物はサッシの格子模様が特徴的です。
アメリカのサッシにはそういったプレーリースタイルの木製サッシがあるので全面的に採用しました。
しかしながら、建物顔となるメインの窓のみは格子模様をデザインさせて戴き、現場で作成する事にしたのです。
始めはステンドグラスで作ることも検討したのですが、シンプルな格子とした事でかえっていい雰囲気になったのではと思っています。
内部も木をふんだんに使い、モールを回しライト風のデザインとしています。
骨董品を集めるのが趣味のお施主さんだったため、飾り棚を設け飾る収納が多いのが特徴的です。
また、アンティークの家具も数多くお持ちだったので、予め設計に取り入れプランニングしています。
対になったガラスの薬棚を引き立てるようにゲートを設けシンメトリーに配置しています。
飾り棚の上部に照明を設けガラスのケースのオブジェを引き立たせる様にしてみました。
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フランク・ロイド・ライトの作風の中でも私は特にプレーリースタイルの家が好きです。
なんとなく落ち着くゆとりのある住まいです。